32号 第1会議室 (1999/10/04)up down
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○国会事務所編

 国会議員の多くは東京(国会)事務所と選出選挙区内の地元事務所の両方を構えています。
 今回は,某衆議院議員の国会事務所訪問をレポートします。

 JR東京駅から丸の内線を乗り継いで約10分。国会議事堂前駅から地上に出ると,ちょうど議事堂の南側に出る。
 右手には,まずものものしく警備されている首相官邸が目に入る。
 少し東に歩くと首相官邸の北側に3つの議員会館が見える(南から衆院第一,衆院第二,参院の順)。途中,ハンドマイクを持ったおじさんが国会に向かって何やら叫んでいる。

 衆院第一議員会館の前を通りすぎ,第二議員会館の正面に到着。
 まず,受付にて訪問者記入用紙に必要事項(訪問先,氏名,用件等)を記入。受付嬢が訪問先の部屋に電話して,先方の確認を取る。
 OKが出たので,守衛さんに記入用紙の半券を見せて会館内に入る。
 エレベーターで目的の部屋まで行く。右側のエレベーターには「議員専用」の表示。


 目的の部屋に到着。手前の事務部屋を通り,奥の議員部屋に通される。応接室に腰掛けると,事務員さんがお茶を入れてくれた。
 議員と歓談。しばらくすると,議員は委員会のため出ていった。

 そこで,秘書さんと話をしていると訪問客。

客「この度○○省の事務次官に就任致しました××でございます。就任のご挨拶に伺いました。」
秘書「どうもご丁寧にありがとうございます。あいにく,代議士は外出中でございまして。」
客「それでは,先生によろしくお伝え下さい。失礼致しました。」

 滞在時間20秒。5秒後には隣の部屋から同じやりとりの声が聞こえてくる。
 ふと机の上を見ると「就任ご挨拶」「退任ご挨拶」というハンコの押した名刺がズラッとならんでいる。

 しばらくすると,若い新聞記者が訪問してきた。
 事務員の若い女性と顔見知りらしく,仲良く話をしている。デートにでも誘っているのかなと思いきや,議員が昨夜誰と会ったかをさりげなくチェックしている。
 聞くと,女性の事務員さんは脇が甘いらしく,必要以上のことを話してくれるらしい。記者にとっては重要な情報源なのだろう。

 1時間ほどの滞在中,

・役人×2:就任の挨拶,会議資料届け
・新聞記者:情報収集
・団体職員:陳情書届け
・他議員秘書:パーティ出席への御礼

と,5人の訪問客がひっきりなしにやってきた。


 秘書さんの勧めで,議事堂内の食堂で昼食を食べてから失礼することになった。
 エレベーターで地下まで降りる。ここから,地下通路(各議員会館と議事堂は地下の通路でつながっている)を通って議事堂まで行く。

 すると向こうから大勢の人の群れがやってくる。よく見ると○○大臣だ。
 まわりには,役人,秘書,記者と多くの人が集まっている。すれ違い際に軽く会釈。もちろん無視。

 衆議院の食堂に到着。
 カツカレーを注文。これがなかなかいける(議員食堂のカレーはけっこう評判らしい)。見渡すと,テレビで見かける顔があちこちで食事をしている。

 滞在時間にして約2時間。
 やはり,世間とはなんとなく違う独特の雰囲気を持った空間であった。
 なかなか貴重な経験であった。

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○地方議員 編

 今回は,市議会議員Aさんの事務所にお邪魔することにしました。

▼市議会議員Aさんについて

 Aさんは,今年4月の統一地方選挙で初当選した方で,36歳とまだまだ若い議員さんです。
 Aさんが当選された街は人口が約34万人ですが,十数年前に大学が移転してきたこともあって今でもなお人口が増加しており,ちょうど2年前に町から市に変わったばかりのところです。

 Aさんは自宅とは別に事務所をかまえているのではなく,1戸建ての自宅の1階を事務所として使用しています。市議会議員は報酬の面から見ても,経費を浮かすため,Aさんと同じように自宅を事務所と兼ねるケースが多いそうです。



▼事務所に入って

事務所として使っている部屋に入ると,「散らかっている」という印象を受けました。(おせじにもきれいな部屋とは言えないです(笑))

 部屋を見渡してみると,コピー機,輪転機,ファックス,パソコンなどの機器類が置かれています。

 その部屋の中で,特に私の目をひきつけたのは,無造作に置かれていた資料の山でした。私が訪問したときは,ちょうど議会が開かれていたときでしたので,質問に立ったときに使った資料がどっさりと積んであったのです。
 これを見て,議員の事務所に来ていることを初めて実感しました。それにしても,これだけの資料に1度目を通すだけでも,膨大な時間がかかるだろうと思いました。

 お話を伺っている途中に,電話がかかってきてAさんが席をはずされたので,辺りを見渡してみると,本棚がありました。


▼本棚

 そこには,とても幅広いジャンルの本が並べられています。小説や文庫本も数多くあります。
 Aさんはもともとサラリーマンでしたのでそのときに読んでいたと思われるビジネス関係の本も数多くあります。また,『リーダーとは・・・』,『政治家のあり方』などの指南書的な本もあれば,詩集なんていうものもあります。とにかく,本のタイトルを見ているだけでも飽きないほど,いろいろな種類の本がありました。

 他のところに目を向けると,テーブルの上に後援会向けの市政だよりが束になって置いてありました。そのとなりには,印刷がずれているミスプリント。

 「このビラも,自分で作っているのだろうか?もしそうならば,どのようにして作っているのだろうか?」と思い,電話が終わって戻ってきたAさんに聞いてみると,

 「業者に頼むと高くつくので自分で作っている。」とのこと。

 作成方法は,まず原稿を集め,パソコンでレイアウトやレタリングなどを決めて,原版を完成させる。そして,その原版を輪転機にかける。
 ビラ自体はこれで完成ですが,不特定の人に配ったり,ポストに投函したりするときは二つ折りにする必要があるので,その時は折り機を使います。
 ただ,現在折り機は自分の家にないため,2つ折りが必要なときは,折り機のある知り合いの家に行かなければなりません。

 過去には,何百枚というビラを手で折ったこともあるそうです。
 このように,自分でビラを作ることで業者に頼むよりコストはかなり抑えることができるようですが,同時に大変な労力がかかります。

 私が想像していた以上に,議員の仕事には地味な部分があると感じました。


▼訪問してみて思ったこと

 今回Aさんの事務所を訪問してみて分かったことは,上記の国会議員編とはかなりの差があるように思います。
 国政では,事務所に行けば複数の秘書または事務員がいて,すべての資料や備品がきれいにまとめられている光景を目にすると思いますが,地方レベルではAさんのようなところが大半ではないかと思います。


▼最後に

 議員の事務所というものは,アポなしの奇妙な来訪者(宗教関係や占い師など)もしばしば来るそうなので,いろんな意味でなかなか楽しめるところだと思います。


松井,緒方


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